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notatione digna?

岡山大学でドイツ地域を中心に西洋史(中世史)を研究している大貫俊夫のブログ。

『史学雑誌』第122編第2号

先日,帰国してから初めて『史学雑誌』が送られてきた。今日寝る前に目を通したところ,知っている方々が寄稿していたので簡単に紹介をしておこう。いずれも東大総合文化研究科出身。

まず研究ノートに鴨野洋一郎「15世紀後半におけるフィレンツェ織物会社のオスマン貿易 ーグワンティ家の経営記録から」。著者はルネサンス期のイタリア都市による地中海貿易について研究している。本論文は,フィレンツェで中規模毛織物会社が直接オスマン帝国と交易を行っていることに着目し,それを可能にした背景を経営記録から探る。(2013.3.13追記)非常に嬉しい話が舞い込んできた。鴨野さんは精力的に論文を発表しているので,それを見習わねばならない。

あとは書評に小林繁子「黒川正剛著『魔女とメランコリー』」。評された本は未読だが,学識者による悪魔学文献の分析が中心になっているそうである。魔女裁判の実践に関心のある評者が筆を取ったがゆえに,最後の2ページがとても生き生きしていた。魔女研究の裾野は十分広いように思えるのだが,日本の西洋史学の中でいまだマージナルな研究領域から脱し得ないのはなぜか。フリーメーソン史研究同様もう少し見直されてよい。

『史学雑誌』の魅力の一つに新刊紹介コーナーがある。しかし,近年そこで西洋中世史の文献があまり取り上げられないのが残念でならない(その事情は何となく察しがついているのだが)。今月号も,若干の寂しさを覚えつつ本棚にしまうのであった。(2013.3.13追記)この件,先日10冊程推薦図書があったそうで,うまく行くと近々若手に話が行くかもしれない。

史学雑誌 2013年 02月号 [雑誌]

史学雑誌 2013年 02月号 [雑誌]