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岡山大学でドイツ地域を中心に西洋史(中世史)を研究している大貫俊夫のブログ。

指導教授の記念論文集

6月4日に指導教授のコロキアムがあり,エルサレム大学のデイヴィッド・ジャコビーが講演を行いました。すでに80を超える大学者で,戦時中はドイツの強制収容所にいたこともあり,戦後イスラエルに亡命した人。

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テーマは「東地中海におけるギリシア語を話すロマニオット」で,ビザンツ帝国治下のユダヤ人が,ビザンツに加えヴェネツィアジェノヴァなどイタリア商業都市が支配権を伸長させる中でどのようにその存在を保てていたのかを英語でお話しされていました。特に重要になるのはやはり第4回十字軍でヴェネツィアコンスタンティノープルを陥落させた出来事で,イタリア都市にとってもどうやらアンチユダイズムが基調としてあるのですが,しかし一方でタックスペイヤーとしてユダヤ人の包摂は不可欠だったようです。

その講演が終わってからが本日のハイライト。博論を指導してくださっているハーファーカンプ教授が5月16日で75歳を迎え,この10年間でお書きになった論文11本をまとめた記念論文集の贈呈が行われました。完全にサプライズで,編者が序文を読み上げるのを聞く教授は,嬉しくもかしこまった感じで大変キュート。

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これからも息長く,第一線で我々を指導してほしいと思いを新たにしました。

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目次は以下の通り。ライフワークとなっている中世ユダヤ史についても,トリーアで死んだギリシア人聖ジメオン(論文IX)についてもそうですが,異文化間の交流であったり,あるいは集団における包摂/からの排除などに対してものすごい嗅覚で接近していきます。そういう問題関心を,僕はいかに吸収・消化し,自分のものにして論文に反映できるか。偉大な指導者を前に,もう一踏ん張りです。

Alfred Haverkamp, Neue Forschungen zur mittelalterlichen Geschichte (2000-2011). Festgabe zum 75. Geburtstag des Verfassers, hrsg. v. Christoph Cluse und Jörg Müller, Hannover 2012.

Erster Teil: Europas Juden im Mittelalter
I Juden im Mittelalter – Neue Fragen und Einsichten
II Juden und Städte – Verbindungen und Bindungen
III Juden zwischen Romania und Germania. Zur Kulturgeschichte Europas im Mittelalter
IV Juden in Italien und Deutschland während des Spätmittelalters: Ansätze zum Vergleich
V Jüdische Friedhöfe in Aschkenas

Zweiter Teil: Christliche Gemeinschaften und Gemeinden
VI Gemeinschaften und Räume während des Mittelalters. Einige Thesen
VII Neue Formen von Bindung und Ausgrenzung. Konzepte und Gestaltungen von Gemeinschaften an der Wende zum 12. Jahrhundert
VIII Bruderschaften und Gemeinden im 12. und 13. Jahrhundert

Dritter Teil: Mediterrane und globale Horizonte
IX Der heilige Simeon (gest. 1035), Grieche im fatimidischen Orient und im lateinischen Okzident. Geschichten und Geschichte
X Die Erneuerung der Sklaverei im Mittelmeerraum während des hohen Mittelalters. Fremdheit, Herkunft und Funktion
XI Die Städte