notatione digna?

岡山大学でドイツ地域を中心に西洋史(中世史)を研究している大貫俊夫のブログ。

Heilig Rock Wallfahrt Trier

本日4月13日から5月13日まで,トリーア大聖堂では「キリストの聖衣(Heiliger Rock)」の一般公開を行っています。これでトリーア市は多数の巡礼者を見込んでおり,おそらく経済をぐいっと後押ししてくれるのでしょう。公式HPはこちら(http://www.heilig-rock-wallfahrt.de/start.html)。

この聖衣の歴史を遡ると(Wikipediaを参照),そもそもローマ皇帝コンスタンティヌス1世の母ヘレナがこれをトリーアにもたらしたとされています。史料上最初に登場するのは,1196年5月1日にトリーア大司教ヨハン1世が発給した証書において。中世の間は祭壇の中にあり公開されることはなく,初めて公の場にさらされたのは,皇帝マクシミリアン1世が1512年に要請したためだそうです。時代はまさに宗教改革前夜。カトリックの勢威を聖衣で(おっと)回復させようとやっきになっていたのではないかと推測しますが,研究書を読んだわけではないのであくまで推測です。

以後,1628〜1794年の間,戦災を逃れるためにコーブレンツの城塞エーレンブライトシュタインに保管されていた他は,定期的ではないにせよ間隔をおいてトリーア大聖堂で公開されていたようです。なお,20世紀に入ってからは1933年,1959年,1996年,そして2012年と全くもって不定期。今年はマクシミリアン1世の要請があってからちょうど500周年にあたるので公開に至りました。

それにしてもこのような年にトリーア滞在ができるというのは幸運以外の何物でもありません。無論聖衣は見てくるつもりですが,それ以外にも毎日のように催し物があります。例えば,夜の20時に巡礼は終わりますが,そのあと21時から1時間,大聖堂でAbendlobと称して演奏会が毎日あります(プログラム:http://www.dommusik-trier.de/downloads/abendlobhrw2012.pdf)。体力や寒さを鑑みつつ,いくつか見てきたいものです。