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notatione digna?

岡山大学でドイツ地域を中心に西洋史(中世史)を研究している大貫俊夫のブログ。

聖なる場所

今日の午前中はArnold AngenendtのGeschichte der Religiosität im Mittelalter, 2. Aufl., Darmstadt 2000のうち巡礼に関する箇所に目を通しました。

そもそも「ヨハネによる福音書」4章19-23を見ると,女がイエスに「主よ、あなたは預言者だとお見受けします。わたしどもの先祖はこの山で礼拝しましたが、あなたがたは、礼拝すべき場所はエルサレムにあると言っています。」と言うのに対し,イエスは「婦人よ、わたしを信じなさい。あなたがたが、この山でもエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。・・・しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時が来る。」
と答え,場所ではなく霊と真理をもって神に礼拝するのだと述べ,原理的には「聖なる場所」やそこへの巡礼は否定されています。

しかし,そのうちキリスト教には聖なる場所について独自の意識が芽生えてきて,それは木,泉,山,星といった自然や宇宙と関連するのではなく,聖人の祝福があるところとされます(locus non sanctificat hominem, sed homo locum)。

そういうわけで聖人の墓所がそのまま巡礼の対象となり,例えばイェルサレム,ローマ,コンポステラ,ケルン,カンタベリー,アーヘン等に向かって大量の人口が移動しました。後期中世には巡礼が大流行するのはすでに知られている所ですね。このあと地図の話になるのですがそれは割愛。