notatione digna?

岡山大学でドイツ地域を中心に西洋史(中世史)を研究している大貫俊夫のブログ。

Franz J. Felten, Werner Rösener (Hg.), Norm und Realität

先日今月頭に注文した本が(ようやく)届いた。最近はamazon.jpでも沢山洋書が買えてしかも割安になったりもするので実に便利。その中からここでは本書をーまだ未読なのでさわりだけだがー紹介する。

Franz J. Felten, Werner Rösener (Hg.), Norm und Realität. Kontinuität und Wandel der Zisterzienser im Mittelalter, Berlin 2009.

本書は2007年マインツで開催された研究集会の報告を元に編んだ論文集で、計20本の論文が5章に分けられている。実はこの研究集会には足を運ぼうと思っていたのだが、別の用事が入って断念したという経緯がある。各章のテーマは以下の通り。

第一章 修道会制度の発展に関する新しい研究アプローチ
第二章 シトー会修道院の社会・経済史の諸相
第三章 女子修道院のシトー会修道院との関係
第四章 盛期中世ヨーロッパにおけるシトー会修道院の拡大
第五章 シトー的建築と宗教文化

驚くのは、一見したところ1980年にK. Elmらがアーヘンで開いた研究集会の内容とさほど変わらないということである。各論文のテーマにも目新しいものはなく、強いて言えば女子修道院に関する議論が若干充実しているかという印象。ある意味で、現在のシトー会研究の状況を忠実に反映しているとも言える。しかしそれでも(おそらく)最新の研究を摂取してアップデートされた情報を提供してくれているはずだから、それなりに期待して読もうかと思う。とりわけ序として書かれたW.レーゼナーの最新研究動向に関する文章は自分の博士論文の序論で参照しないわけにはいかないだろう。

編者のフェルテン教授(マインツ)は昨年出版された

中世ヨーロッパの教会と俗世 (YAMAKAWA LECTURES)

中世ヨーロッパの教会と俗世 (YAMAKAWA LECTURES)


でその関心の幅を知ることができて、最近は女子修道院について多く発言している印象がある(とはいえDissertationは初期中世フランク王国の俗人修道院長に関する研究、Habilitationはアヴィニョン教皇庁)。ちなみに本訳書の新刊紹介を『史學雑誌』に書かせていただいて近々掲載されるので興味のある方は是非そちらを。

もう一人のレーゼナー教授(ギーセン)は中世農業史を主要テーマとして取り組んでいて

農民のヨーロッパ (叢書ヨーロッパ)

農民のヨーロッパ (叢書ヨーロッパ)


なる訳書があるが、Dissertationではボーデン湖畔のシトー会修道院ザーレムを扱っており、以降シトー会に関する論文多数。