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notatione digna?

岡山大学でドイツ地域を中心に西洋史(中世史)を研究している大貫俊夫のブログ。

西欧の修道院建築

昨年修道院建築について読みごたえのある翻訳書が刊行されました。

図説 西欧の修道院建築

図説 西欧の修道院建築


目次
第一章 修道会戒律と建築計画
第二章 出発点
第三章 ザンクト・ガレンのユートピア
第四章 クリュニー
第五章 シトー会修道院
第六章 カルトゥジオ会修道院
第七章 托鉢修道会の修道院
第八章 修道院国家、修道院都市、修道院城砦
第九章 バロックの貴族修道院
第十章 修道院の世俗化と新しい動向


秋に一時帰国した際に買ってドイツに持ってきたものです。シトー会に関する箇所以外はまともに読んでいないため書評めいたことは書けないのですが、修道院建築について知りたければまず本書から目を通すのがよろしかろうと思います。

秀逸なのは巻末に「文書資料」(約30ページ)が付属しており、ベネディクト戒律からバロック時代にいたるまで、修道院建築に関連する史料の邦訳が掲載されていることです。

ただ惜しむらくは、原著(Wolfgang Braunfels, Abendländische Klosterbaukunst, Köln 1969)が1964年のアーヘン工科大学における講義を元に書かれているため、60年代までの文献しか用いられていない点です。せめて新しい関連文献のリストを巻末に添付していただきたかったのですが、なかなかそう都合よくはいかないでしょうか。

「文書資料」に聖ベルナルドゥスのApologia ad Guillelmumから例の有名な部分が掲載されていて、改めて読んでみると面白いですね。

「私は、この聖堂の大いなる高さやはかりがたい長さやまた過度の広さや豪華な石工技術やたくみな絵画が、祈る者の心をそらせ礼拝のさまたげになり、過去のユダヤ人の祭式かと疑わしめるほどであることについては、あえて言及しようとは思わない。」

・・・といいつつ遠慮なく言及しているところが何とも正直ですね(笑)