notatione digna?

岡山大学でドイツ地域を中心に西洋史(中世史)を研究している大貫俊夫のブログ。

遅塚忠躬『史学概論』第1章

月曜5限の西洋史演習で遅塚忠躬『史学概論』(東京大学出版会、2010年)を読んでいます。西洋史の学生だけでなく、東洋史の学生も出席してとても刺激的です。できれば日本史の学生にも出てほしかったのですが、日本史は教員も多く授業内容も厳しいので、学生…

久木田直江『医療と身体の図像学』

4月にたまたまお会いしたご縁で、久木田先生より新著『医療と身体の図像学ー宗教とジェンダーで読み解く西洋中世医学の文化史』(知泉書館、2014年)をいただきました。改めて御礼申し上げます。 まだ冒頭を読み始めたところですが、中世の医学、医療の実践…

中央図書館リニューアルオープン

先週金曜日、長らく続いていた耐震工事+改築が終わり、岡山大学中央図書館がオープンしました。そして昨日は早速1年生の授業でオリエンテーションがあり、僕も見学に行って参りました。 この奥のスペースがラーニング・コモンズで、最近流行りの例のやつで…

ゴールデンウィークのファジアーノ

研究・教育とは関係ないですが、ファジアーノ岡山関係の写真をアップしておきます。 5月3日、初めて熊本の地に下り立って、うまなか・よなかスタジアムで岡山ー熊本戦を観戦してきました。それと阿蘇のファームランドで動物と戯れ、温泉に入るというのが目的…

大学院ゼミの前期カリキュラム

ゴールデンウィークも終わり、約2ヶ月息継ぎ無しで授業が進行しますね。それでも適宜息を抜きつつ、良質な授業を展開したいと思います。 4月に大学院ゼミのスケジュールが確定しましたので、その内容を書き出しておきます。基本的に参加者の研究発表を主軸に…

岡地稔「中世前期・東フランク=ドイツ王国における「宮廷アーカイヴ」

以下抜刷りを頂戴いたしました。感謝申し上げます。 岡地稔「中世前期・東フランク=ドイツ王国における「宮廷アーカイヴ」『アルケイアー記録・情報・歴史ー』第8号(2014年)、49-103頁。 津田さんのご議論といい、初期中世の「宮廷アーカイヴ」はちょっと…

甚野尚志/踊共二編著『中近世ヨーロッパの宗教と政治』

以下の献本を頂戴いたしました。厚く御礼申し上げます。 中近世ヨーロッパの宗教と政治: キリスト教世界の統一性と多元性 (MINERVA西洋史ライブラリー) 作者: 甚野尚志,踊共二 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房 発売日: 2014/03/30 メディア: 単行本 この商…

ヒロ・ヒライ/小澤実編『知のミクロコスモス』

以下、編者より献本を頂戴いたしました。厚くお礼申し上げます。 知のミクロコスモス: 中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー 作者: ヒロ・ヒライ,小澤実 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2014/03/07 メディア: 単行本 この商品を含むブ…

西洋史演習学生アンケートから抜粋

先学期の西洋史演習で、最後に研究室や授業の改善のためにコメントをしてもらいました。今日は改めてそれに目を通したので、重要そうなものを抜粋してコメントを付していきたいと思います。想像以上に長くなりました。 西洋史演習のドイツ語文献購読について…

シンポジウム「あなたが〈介護者〉になるとき」

僕と同時に岡山大学に着任して精力的に催し物をやっていらっしゃる本村先生が、「孤児院」シンポの翌日に以下のようなシンポを開催します。孤児院の方は過去を見ますが、こちらは極めてアクチュアル。そして、14日から引き続いて子どもの問題も包含します(…

シンポジウム「孤児院ー子どもと社会が交わる場所の史的源流」

3月14日に開催されるシンポジウムのポスター・チラシデザインができ上がりました。こちらにアップロードしてありますのでご覧下さい。当日は(特に学生さんの)多くの方のご来場をお待ちしています。 それとともに、今日岡山大学の定例記者発表でこの件を紹…

2013年度卒論発表会

3月12日に岡山大学西洋史学研究室で卒論発表会が行われました。今年の卒論提出者が15分ほどで自分の論文を紹介し、15分ほど質疑応答するという形式です。 質疑応答は、自分としては至極もっともな切り口から論文を批判し問いを投げるのですが、学生が時折見…

2014年度前期の授業

学生の皆さんはそろそろ試験も一段落し、レポートの追い込みをしている頃かと思います。そしてTwitter界隈からは現実(=レポート)逃避からのシラバスチェックをしているという声を聞きます。気がつけば、もうシラバスが公開されていたのですね。ここでは、…

西洋史演習におけるドイツ語テキストの水準について

西洋史演習について補足しておきます。前回、前々回のポストで授業の内容を大雑把に紹介して、来年受講する(受講するかどうか迷っている)方の参考資料を提示したわけですが、僕の中で喉に引っかかった小骨のような問題が一つあります。それは扱うドイツ語…

西洋史演習のリズムが確立したか〜その2

②ディスカッション 4回に1回、テーマと課題文献を指定して参加者でディスカッションを行います。これは今学期からの試みで、ヨーロッパ中世史を題材に、学生の皆さんに自分の頭で考えてもらう場を設けたいという切実な思いから始めました(そういう場は以外…

西洋史演習のリズムが確立したか〜その1

ここで何回か西洋史演習(ゼミ)の話題を書いています。というのも、講義と違いこの授業が一番教員の個性が反映されるし、教育現場として最もスリリングですので、どうしても僕自身考えることが沢山あってアウトプットしたくなるのです。水準は大学院に進学…

文学部プロジェクト研究第2回研究会

参加させていただいている2013年度文学部プロジェクト研究「貧困・死に相対する宗教者・思想家と社会的コンテクスト」の第2回研究会を昨日25日に行いました。文学部の先生、院生、学部生が聞きに来て下さり、第1回以上の出席者数となりました。なんとも嬉し…

大学院博士前期課程の入試日程

僕が所属する社会文化科学研究科の博士前期課程(=修士課程)の入試は年に2回実施されています。今年度の2回目が2月13日にあって、その出願が1月9〜15日。特に(我々の専門である)ロシア近代史や中世ドイツ史分野に限定せず募集しているので、西洋史をさら…

演習の単位の問題

現行の岡山大学文学部の制度では、4年生が特定の教員のゼミ(演習)に出席することを求められません。むしろ2〜3年生のうちに演習の単位は取り終わってしまい、4年生では卒論のみ、という人が大変多い(卒論指導の授業はある・・・が、分野によってその頻度…

西洋史演習で2回目のディスカッション

昨日の演習で、「中世の社会身分」というテーマで発表+ディスカッションを行いました。今回の課題論文は 桑野聡「貴族身分と封建制」 堀越宏一・甚野尚志編『15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史』ミネルヴァ書房、2013年、105-122頁。 江川温「貴族・家人・…

文学部プロジェクト研究 第1回研究会のお知らせ

「文学部プロジェクト研究」という学部の研究費で「貧困・死に相対する宗教者・思想家と 社会的コンテクスト」というテーマの共同研究をやっています。今回、その第1回研究会を11月15日(金)17時より開催する運びとなりました。 報告タイトルが確定したので…

西洋史演習におけるディスカッション

昨日の西洋史演習は、普段のドイツ語文献購読ではなく発表とディスカッションを中心に行いました。大まかな手順は以下の通り。 これまで3回にわたり、中世盛期のドイツ王権、具体的にはフリードリヒ・バルバロッサの政治史をドイツ語で講読してきました(残…

研究室旅行@松山・道後温泉

週末に研究室旅行があり、松山の道後温泉に行ってきました。ちょっとしたレポートを岡山大学西洋史学研究室便りに書いたので、そちらをご覧下さい。 来年もぜひ続けて定例化していきたいものです。特に今回卒業して大阪で就職した方が来てくれたのですが、現…

Ingrid Voss, Herrschertreffen im frühen und hohen Mittelalter

授業の準備も兼ねてIngrid Voss, Herrschertreffen im frühen und hohen Mittelalter, Köln/Wien 1987の第2章、特にそのうち盛期中世に関わる第3節を読みました。

キックオフパーティーの告知

10月11日(金)5限終了後、西洋史研究室の「後期キックオフパーティー」を開催する運びとなりました。 2〜4年生の西洋史所属のみなさんで2013年度後期スタートを共にし、学生同士で情報交換ができる場にいたしましょう。個人的には、夏休みの体験を聞くのが…

第1回ラテン語勉強会

中世ラテン語史料の講読をやりたいけれど、まだそういう学生もいないし、なかなか難しいなと思っておりました。ところが天の配剤というべきか、岡大大学院の卒業生で大変熱心なW君がいて、6月の西洋中世学会で紹介されていたことから、先日土曜日に第1回を開…

ファジアーノ考

ファジアーノ岡山 FAGIANO OKAYAMAはJ2に所属するサッカーチームです。僕はその存在をちゃんと認識したのはこちらに来てからですが、どうやら盛り上がっているらしいということはインターネットで知っていました。なにせそれまで岡山にはプロスポーツのプの…

2013年度後期の授業案内と雑談

夏休みも残すところはや3週間です。この間、岡山大学病院で初めて全身麻酔を経験するなど、なかなか落ち着かない日々を過ごしていました。 この手術では親知らずを抜いただけなので、それだけ言うとあまり大したこと無いように聞こえます。ところが、この親…

演習室の掃除

一昨日の金曜日で正規の授業期間が終わり、学生はみな試験も終えて一段落。そしてこの週末は岡山で一番大きなお祭り(おかやま桃太郎祭り)が開催されています。娘の保育園でも「うらじゃ」と呼ばれる踊りの出し物をしておりました。 そうした中、岡大の西洋…

2013年前期「西洋史演習」について

ドイツ語文献の講読を行ってきた西洋史演習も、昨日無事レポートの採点が終わりました。今回の課題は、まず(A) 岩波書店「ヨーロッパの中世」シリーズ全8巻から1冊選択して内容を5000字程度で要約する、というものでした。 佐藤彰一『中世世界とは何か』岩波…

2013年前期「西洋史講義」について

今学期は、西洋修道制について4世紀から14世紀までを追った講義を行いました。今試験の採点をしていますが、全体として良く書けている印象を受けました。採点は決して厳密に(この要素を含むから加点2、など)やっているわけではありませんが、いくつかの点…

西洋中世学会第5回大会

週末は西洋中世学会第5回大会が中央大学で行われました。日本のヨーロッパ中世に関わる大御所〜若手が多数来場して文字通り1ヶ所に集うのはこの機会を除くと考えられないので、それを成し遂げ5回目を迎えることができた学会の功は大きいです。 今回は事務局…

ヘッドリク『インヴィジブル・ウェポン』

訳書D. R. ヘッドリク『インヴィジブル・ウェポン 電信と情報の世界史1851-1945』日本経済評論社、2013年を、第6章と第7章を担当された福士さん(岡山大経済学部)より頂戴しました。感謝申し上げます。 インヴィジブル・ウェポン 電信と情報の世界史1851-19…

田口正樹「フリードベルク城対フリードベルク市(一)(二・完)」

少し前になりますが、常に精力的に論文を発表されている法制史の田口先生から抜刷りを頂戴しました。ありがとうございました。 ヴェッテラウのフリードベルクは、ブルクも都市も王権直属。それゆえ王権は両者の調停に極めて長期間尽力せざるを得ず、そこに本…

「中世的」という揶揄について

国連から批判を受けて日本の上田大使「シャラップ!」とブチギレ - YouTube 「我々はこの分野で最も進んだ国」、という表現は大使が日本の司法制度への自虐、ではなく弁明ために発したものだという点に苦笑を禁じ得ないわけですが、中世史研究をしていて気に…

飯田洋介『ビスマルクと大英帝国ー伝統的外交手法の可能性と限界』

岡山大学に着任する以前からこの大学の「西洋史的マンパワー」がどのような状況にあるか調べていました(岡大だけではなく県下各大学の状況もできる限り)。そこで目に留まったのはちょうど2年前に教育学研究科に着任されていた飯田洋介さん。早稲田出身でド…

2013年度前期「英語(文学部)」最終回

今朝、前回のエントリーで紹介した授業の最終回をやってきました。肝心のロイターならではの議論にさしかかったところで終わり。急ぎ足で残りの議論を説明しましたが、個人的にはあと1回やって最後まで読み切りたかったです。無念。 しかしいずれにせよ、本…

2013年度前期英語(文学部)

先月から3回に渡り「英語(文学部)」という教養の授業を担当しており、明日はその最終回です。これは日東西考古で分担するもので、各分野に関連する英語論文を講読するという趣旨。普通の概説を読んでもあまり面白くないのではと思い、 Timothy Reuter, Sex…

2013年度前期大学院ゼミ第8回

今日は大学院ゼミでマルク・ブロック『比較史の方法』創文社、1978年を取り上げてレジュメを切ってもらった。毎回ブログ記事をしたためることができていないため書いておくと、これまでの2回で佐藤真一『ヨーロッパ史学史』と二宮宏之『全体を見る眼と歴史家…

藤川直樹「ドイツ立憲君主政における王統と国家」

昨日以下の抜刷りを落掌。感謝。 藤川直樹「ドイツ立憲君主政における王統と国家ーヘルマン・レームの公法学ー」『國家學會雜誌』126巻3・4号、101-162頁 東大法学部ドイツ法のホープである著者は、この論文の元となった修士論文で修士号を取得し、助教採用…

論文刊行

2日に渡る京都の日本西洋史学会から帰って来た(学会についてはまたコメントします)。少々疲れを残したまま大学に来てメールボックスを見ると『法制史研究』62号が届いていた。これの抜き刷りを学会でお配りしたかったのだが、それは叶わず。結果として切手…

高校世界史についての雑感

講義や演習を行う中で常に気にかけているのは、学生が西洋史についてどこまで知識を有しているかということである。換言すれば、知識面において共通の前提は設定可能かどうか、ということ。そのため、頻繁にこう問いかけてしまう。 「これ高校世界史で出てき…

ここ2週間に関する雑感

明日からゴールデンウィークに突入。授業も3週目が終わり、おおよそのペース配分の仕方がつかめてきたため、少しずつ博士論文の延長線上に位置づけられるような専門研究に取り組む時間ができてきた。 この間いかにも新任教員らしく、所属部局教職員の互助会…

講義ノートへの工夫 その1

講義ノートを年度末から作っているが、ほとんどの作業はパソコンで行うことになる。実際に手を使わないと頭が整理されない時のみ、ノートに手書きというやり方を採用する。しかし基本的には以下の通りに進んでいる。 Evernoteの「ノート」に喋りたいことをベ…

授業が始まりました

ブログ上ではまだ記事にしていなかったが、様々な幸運が重なり、新天地岡山で研究・教育活動に従事できることになった。これまでお世話になった方々には感謝の言葉以外見つからない。 岡山の地を踏んだのは公募面接の時が初めてで、その後2月に一度ご挨拶に…

『史学雑誌』第122編第2号

先日,帰国してから初めて『史学雑誌』が送られてきた。今日寝る前に目を通したところ,知っている方々が寄稿していたので簡単に紹介をしておこう。いずれも東大総合文化研究科出身。 まず研究ノートに鴨野洋一郎「15世紀後半におけるフィレンツェ毛織物会社…

帰国しました

ブログに書くのを失念していましたが、1月末に完全帰国し、平日は所属先からいただいたデスクで作業をしています。途中日本に帰ってきていましたが、これにて6年半に及ぶ「留学生活」は終結。また新鮮な気持ちでやっていきます。その一環として、先程アップ…

三浦麻美「MobilesとImmobilesーアポルダのディートリヒ『聖エリザベート伝』に見る13世紀の財と施し」

週末に、三浦麻美「MobilesとImmobilesーアポルダのディートリヒ『聖エリザベート伝』に見る13世紀の財と施し」『人文研紀要』第74号、2012年、43-65頁、を読んだ。 本論文は、アポルダのディートリヒ『聖エリザベート伝』の寡婦産と施しに関する記述を分析…

2度目のベルンカステル=クース

ドイツ滞在もあとわずか。博論で忙しくなる前は,よく週末に日帰りで近郊の観光スポット(ほとんど教会施設)を訪れていた。もうそれもできなくなるので,久しぶりに電車とバスで1時間程のベルンカステル=クースに行ってきた。場所の選定はひとえにフェイス…

山田欣吾「Verfassungsgeschichteについて」その2

少し前に,ツイッター界隈で「一般史 Allgemeingeschichte」というタームについて少し議論になった。ここから改めて,では文学部の歴史学(つまり「一般史」)は法学部の法制史,経済学部の経済史,自然科学系の科学史等といかに異なるのか,という疑問が浮…